小川脩子さん
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学びが、人生をもう一度、
前へ進めてくれました

千葉学習センター

小川 脩子さん

(名誉学生・83歳・1995年入学)

ご主人の病をきっかけに放送大学で学び始めた小川さん。18年をかけて教養学部全5コースを修了し、さらに大学院へ進学。2025年3月、82歳で修士課程を修了されました。「何歳からでも挑戦できる」――。
学びに支えられた人生の経験を次の世代へつなげたいという思いから、「チャレンジ募金」へ寄附をされました。

夫を支えるために始めた
学びが、
人生を変えた

53歳のとき、夫が脳出血で倒れました。突然の出来事に戸惑いながら、再発への不安と向き合う日々が始まりました。 「支えるためには、私自身が理解していなければならない」そう思っていたとき、偶然目にしたのが放送大学の入学案内でした。そこに並んでいた「脳と生体統御」「基礎生物学」という科目名は、まるで今の自分に必要な学びを示してくれているように感じられました。 入学後も夫は何度か再発しました。そのたびに不安は押し寄せましたが、学んだ知識があることで、病状や治療の説明を落ち着いて受け止めることができました。リハビリにも、理解をもって寄り添うことができたと思います。そして何より、学ぶ時間そのものが、私自身の心の支えでした。看病だけの毎日だったなら、気持ちは沈み込み、前を向くことが難しかったかもしれません。 講義を聴き、ノートを取り、試験に向けて準備する――その一つひとつが、私の生活に静かな光を灯してくれました。

学びは、新たな夢へとつながった

やがて、学びは思いもよらない広がりを見せていきました。理系科目から始まった興味は他分野へと広がり、18年をかけて教養学部全5コースを修了。千葉学習センター女性初のグランドスラムを達成し、エキスパート資格も取得しました。 その過程で、心の奥にしまい込んでいた思いがよみがえりました。中学時代、恩師の影響で抱いた「植物研究をしてみたい」という夢です。「今からでも遅くない」大学の植物ゼミで出会った先生方の言葉に背中を押され、私は再び学びに挑戦しました。 猛勉強の末、2022年度に大学院へ進学。現地調査や論文執筆に取り組む日々は決して楽ではありませんでしたが、それ以上に「研究できる喜び」が勝っていました。 修士課程では、加藤先生、中村先生に、厳しくも温かいご指導をいただきました。思うように勉強が進まず、悔しさのあまり涙を流しながら机に向かった日もあります。それでも続けていると、先生から「徐々に良くなっているね」と声をかけていただきました。その一言に励まされ、もう一度前を向くことができました。振り返れば、あの時間は本当に充実した日々でした。

82歳で迎えた、学びの集大成

そして――放送大学入学から30年目となる2025年3月、82歳で修士課程を修了しました。修士論文を書き上げたときの達成感は、言葉にしきれません。それまでの人生の歩みすべてが報われたような思いでした。

インタビューを受ける小川脩子さん

次は、誰かの「一歩」を支えたい 

この経験を、これから学ぶ方々にも味わってほしい。その思いから、私は「チャレンジ募金」へ寄附をさせていただきました。そして、学びの機会を与えてくれた放送大学に今度は支える側として関わりたい――その思いが、今回の寄附につながっています。大学院でのゼミ活動にはさまざまな費用がかかります。その一助となれば嬉しく思います。 そしてもう一つ――学位記授与式で、修了生が胸を張ってその日を迎えられるように。アカデミックガウンの整備にも役立てていただけたらと願っています。 私自身、修了式でガウンを着ることは叶いませんでした。その小さな心残りを、次の世代への願いへとつなげたいのです。

これからも、学び続ける人生へ

修士課程を終えた今も、「もっと知りたい」という気持ちは尽きません。現在は東京大学の農学特定支援員として植物標本の整理や研究に関わりながら、日々新しい発見に触れています。 私の目標は、90歳で博士課程を修了することです。植物が時間をかけて芽を出し、成長し、花を咲かせるように、人の学びもまた、年齢に関係なく実を結ぶものだと信じています。 博士のアカデミックガウンを身にまとい、学位記授与式に立つ――それは、自分のためだけでなく、「何歳からでも挑戦できる」その姿を、次の世代に示すためでもあります。これからも努力を重ね、一歩ずつ前に進んでいきます。

放送大学への期待

放送大学は、「可能性に年齢制限を設けない大学」だと思います。この学びの場が、これからも多くの人の人生に灯りをともす存在であり続けて欲しいと思います。 どうか、皆さまのお力添えをいただけますと幸いです。

82歳で修士課程を修了し、なお学びへの挑戦を続ける小川さん。アカデミックガウンに込めた想いは、これから学ぶ次の世代へのエールとして受け継がれていきます。