「学び」の豊かさを
次の世代へ伝えたい。
長崎学習センター
馬場 昭代さん
(名誉学生・82歳・2003年入学)
ご主人とともに、長年にわたって放送大学で学び、6つのコースを履修・修了した節目に「チャレンジ募金」へ寄附をされた馬場さん。「知識を得る喜びを次の世代に伝えたい」と語るその姿には、「学び」を人生の糧としてきた誇りと優しさがにじみます。
今は亡きご主人と放送大学で学んだ日々
放送大学では、ご主人と一緒に学ばれたそうですね。
はい。主人は技術系、私は体育や文化系が得意で、それぞれ違う分野を学びんでいました。ただ、美術や歴史など共通して関心のある分野も多かったので、博物館や美術館にはよく二人で行きました。ネパールなどへのトレッキングツアーの際、現地の歴史や文化を学ぶツアーに参加したこともあります。学びと実体験がリンクした、本当に良い経験でした。 コース修了後は、主人と一緒に放送大学の学位記授与式にも出席することができました。その時の会場はNHKホールでしたね。つい先日、主人の三回忌を迎えまして。今日も主人と一緒に来ているような気持ちでおります。
「チャレンジ募金」へ寄附をされたきっかけを教えてください。
放送大学で最初に履修したコースを修了したときに、「後輩の皆さんの資料代になれば」と、少額ですが寄附いたしました。その後、各コースを順に学んでいくうちに、いつの間にか6コースすべてを修了していたんです。成績が特別良かったわけではないんですよ。得意な分野は頑張れましたが、物理や化学のような理系分野はとても難しく、正直、最低限の理解にとどまっていたと思います。ただ、一生懸命勉強しているうちに修了できたという感じです。 寄附に関しては、6コースすべてを修了した2021年にするつもりでしたが、そのときは学位記授与式に参加できず、名誉学生としての出席も叶いませんでした。今回は、「学位記授与式はどうされますか」と大学側から聞かれましたので、「ぜひ行きます」と軽く返事をしました。それが、まさかこんなに大きなイベントで、寄附に対する感謝状までいただけるとは思ってもいませんでした。
ご寄附がどのように役立ってほしいとお考えですか?
学びの場であるというだけでなく、人間同士の関係性を大事にしているところが、放送大学の魅力です。放送大学の学習センターや学生サークルのメンバーは、非常に頑張って活動しています。私は今、長崎学習センターの「心理学研究会」に所属しており、以前は英語サークルにも参加していました。心理学研究会は「こんな面白いところはない」と思えるくらい、本当に素晴らしいサークルです。人間社会にはさまざまな心理状態があり、放送大学もまた、いろいろな想いを持った人たちが集まる場所です。だからこそ、そうした“想い”を大切にしたいと、6コースを修了した節目として寄附させていただきました。
寄附は金額ではなく、気持ちが動くかどうか
奨学金などを受給する学生さんたちへの想いをお聞かせください。
私自身、放送大学で「学ぶ楽しさ」、「知る喜び」を教えてもらいましたので、次の世代にも、それを伝えたいですね。放送大学は、本当に「青春のような場所」。「学びの場」であると同時に、「人とのつながりの場」でもあると思っています。私は80代ですが、90代の先輩たちもイキイキと学ばれていて、見習いたい方がたくさんいらっしゃいます。若い世代の方々にもぜひ、学ぶ喜び、つながる楽しさを味わってほしいと思っています。
放送大学に今後期待することや、今後チャレンジしたいことはありますか?
「この単位を取ろう」「この仕事をマスターしよう」といった目的意識も大事ですが、そればかりが前面に出ると、学びの本質が薄れてしまう気がしています。若い人には自分の道を作る場として、年配の方には豊かな人生の学びの場として、それぞれの目的に合わせた形で関わってもらえたら、うれしいですね。 個人的には、心理学研究会をもっと元気にしていきたいと思っています。最近、細くなってきた人と人とのパイプをもう少し太くしたい。先生のご指導のもとで、学びを深めていきたいです。
最後に、寄附への想いをお聞かせください。
放送大学の学生は、寄附について知らなかったり、タイミングが合わなかったりする人がかなりいると思います。 寄附は金額の問題ではなく、「気持ちが動くかどうか」です。多くの学生が、その「気持ち」を持っていると思います。だからこそ、心に届くような呼びかけをしてほしいですね。「学びの豊かさを次の世代にも味わってもらいましょう」というメッセージを、しっかり伝えていただきたいです。
ともに放送大学で学んだご主人の写真を手に、
感謝状授与式に臨んだ馬場さん。
晴れやかな笑顔が、学びへの誇りと感謝の気持ちを物語っていました。